衝撃的発言から始まる、シンデレラストーリー
……ん?


目の前のグラスに合わせていた焦点を、副社長へと移す。

そこには怪しくも色気のある笑みを浮かべて、私を見つめる副社長の姿があった。


「ど、どういうこと、ですか?」

「俺もいい加減いい年だしな、そろそろ本気で動かなきゃいけないと思っていたんだ。だからここで会えて良かったよ。これも神の思し召しかな」



そう言って、グラスに掛けていた手を握られる。


それまでも普段よりも早めに打ち続けていた脈が、握られた事でより激しさを増した。




大きくて、少し冷たい手。



ひんやりと気持ちよく感じるのは、激しい鼓動と共に一気に体温が上昇した結果か。



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