5.胸騒ぎの正体現る!
※流血表現あり







祭りも佳境に入り1日目程の騒動は何も起きず、暇な時間を過ごしだけ
それでも見廻りは続く、手持ち無沙汰から私は十手を振り回し土方さんは煙管を持ち時折煙を燻らせ暇そうに目線を動かす
途中はじめさんが来て少し休憩は出来たものの、はじめさんは通常業務に戻ってしまい暇が再来。
袴の帯が段々と緩まる
「悪い、櫻。少し空ける」
珍しく業務中に居なくなった土方さん
その方向には何処かで見たような女の人
暗い夜道に祭りの提灯が明るくて、少し細道に入った
「桜田奉行所の一人娘だな」
後ろを振り向く間もなく掛けられる声に思わず十手を握る
暗闇から伸びてきた手が肩に触れる俊寛十手を振りかざす、その十手は空を斬った。
相手の数は多分五、六人
そのうち三人は私より二回りも大きく威圧感がある、残りの二人は刀を所持している
今日は祭りの警備だからとあまり使えない刀を持っていて良かった
重いから長いこと使えない
「だが浪士ぐらいは殺れるに決まってんだろ。」
小さく呟いた声がやけに通って聞こえた
たかが浪士だ
振りかざした刀は火花を散らし交わる
ぶつかり合う刀に高く上がる音。
この瞬間は生きている感じがジリジリ伝わってくる、生命のギリギリを渡り合う
男達から鮮明な赤が舞い上がる。
五人目が倒れた途端、視界が暗転
急に何も見えなくなった

なにかに揺られる中、懐かしい夢を見た

『櫻は大きくなったら僕と結婚して!』
『晴明が私を護れるのなら良いぞ?』
『うん!護る!必ず!!』
小さい指同士が約束と共に絡まった
『約束!!』

ハッと目を開くと良く分からない誇りの被った如何にも使われていない倉庫の中
鉄で出来た格子のような物に遮られ逃げられないように鎖で縛られている
縄ならまだしも切れない、小刀も奪われいつの間にか丸腰だ

どうしよう。
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