キミノテノヒラノウエ。
4月の終わり。
人々はゴールデンウィークだけど、
薫ちゃんも、私もまとまったお休みはない。

ただ、私の誕生日にお祝いしてやる。と言われたので、
合わせて休みを取った。

てまり。は春に咲く、母が好きなコデマリの花からとったらしい。
小さな花が丸く集まって大きく見えている。白い花。
私は22歳になった。

まあ、昨日とちっとも変わらないけれど…。

薫ちゃんと少しだけおしゃれをして、
みなとみらいのオシャレなレストランでステーキを食べた。

美味しいお肉だ。

ふと、薫ちゃんが顔を上げ、

「言ったと思うけど…
一緒に暮らすのは女除けの意味もあるから。
しばらく仕事に集中したい。
俺を狙うオンナが最近多くて、困ってたんだよね。
一緒に暮らしてるオンナがいるって事にしておくと、重宝だから、
俺の周りにはそう言っておく。
チビスケ、
見習いのパティシエの間は『恋愛禁止』続行しとけ。」

と勝手なことを言った。

「そんな事、聞いてません!!」

「見習いっていつまで?」と涼しい顔で聞くので、

「…gâteau kazma は長くて2年かな。」とおもわず呟くと、

「じゃ、あと2年ね。」と笑った。

「いや!もう、22歳なのに彼氏もいないなんて!」と声を上げると、

「いることにしておけばいいじゃん。」と自分を指差す。

「薫ちゃんにはおねーちゃんがいるでしょ!」と怒ると、

「あのさあ、どうも、お前と話してると話がおかしな方向に向かっているような気がする。
ちゃんと言っておくけど、俺は一回も美冬と付き合ってない。」

と私の顔を見た。


「…嘘。」



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