キミノテノヒラノウエ。
夜、9時ごろ部屋に戻ると、薫ちゃんはソファーに座ってテレビを見ていた。

「チビスケ、今日は遅くならずに帰ってきたな。」
とくすんと笑って、ネクタイを緩める。

スーツ姿だ。
昨日、迎えに来た時もスーツだったかな…

「なんで着替えてないの?」と私がお土産に買ったケーキを見せると、

「うん?
チビスケが帰ってない時は迎えに行かないとなんねーだろ。
昨日みたいに。」と顔をしかめて私を見てから、立ち上がり、

「ケーキ俺のぶんもあるだろ。コーヒー飲むか。」

とニッコリ微笑んで、ケトルをコンロに置いて、着替えに部屋に入って行く。


今まで気がつかなかったけど、

私が遅く帰った時は薫ちゃんは部屋着じゃあなかったかもしれない。

先にお風呂にも入ってなかったかも…。

私が帰ってくるまで、心配してた?



薫ちゃんが遅くなる時はスマホじゃなくて、家の電話にかけて、

私が部屋にいる事を確認してた?

遅くなるから、先に寝ておけって言いながら…。


薫ちゃんって

…結構過保護だ。と思いながら、少し微笑む。

これからは遅くなる時はちゃんと連絡しよう。


私は洗面で手を洗ってうがいをし、

コーヒーを淹れることにした。









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