キミノテノヒラノウエ。
それと、年が明けてから、
(洋菓子店は12月がとても忙しかった)
薫ちゃんと休みを合わせてどちらの両親にも会いに行った。

薫ちゃんのご両親は私が随分と年下なのに驚いた様子だったけれど、
お土産に持って行った私の焼いたケーキを嬉しそうに食べてくれて、
家ではいつも難しい顔をしている薫ちゃんが
私に笑いかける様子や、
美味しそうに私のケーキを食べるのをみて、
薫ちゃんが私に心を許していると思ってくれたみたいだった。

私の両親は
私と薫ちゃんがお付き合いするなんて
ちっとも思っていなかったようだけど、
私が学校を卒業したお祝いに会って、お互いに惹かれあった
という薫ちゃんの説明をすっかり信じてくれたようで、
『育ゲー』されていたとは思わなかったみたいだ。

まあ、私は『育ゲー』から恋人っていうのが信じられないけど、

薫ちゃんは、私が薫ちゃんを好きになるのを待っていた。
っていう事らしいので、
いいのかもしれない。

薫ちゃんはオトナで、十分に収入もあるし、
私も一応社会人になっているので
反対されることもなかった。

お姉ちゃんはすごく驚いていたけど、
喜んでくれて
「初めから私より、てまりを見ていたのかもね。」とちょっと笑った。

お母さんは
「本当にてまりでいいの?」と薫ちゃんに聞いていて、

頭の出来がかなり違うのや、
私がイノシシのような真っ直ぐにしか進めない事を知っているので、
ちょっと心配したみたいだけど、

「てまりさんの脇目も振らず真っ直ぐに進んでいるところが好きです。」
と薫ちゃんが言ってくれたので、
そこを好きになってくれたのなら…と安心したみたいだ。

お母さんは子どもが欲しいなら、薫ちゃんが8歳年上なので、
すぐにでもいいのかもしれないわね。
自分も孫が欲しいし…
とニッコリ微笑む。

「いや、…まだ」とか私はシドロモドロになるけど、

「僕も早く欲しいと思っています。」と薫ちゃんは両親に微笑んで、

私を驚かせる。

本気ですか?










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