キミノテノヒラノウエ。
待って欲しいと言ったてまりの研修期間を終える前に

フライング気味に妊娠させて、俺はてまりを永遠に手に入れた。

結婚も妊娠も一遍に起これば悩む暇もなく、

俺と一緒に生きていくしかないだろう。

という、俺の愛情表現の一種だ。


桜井や、野村先輩に言わせれば、

迷惑な愛情だ。って事らしいけど、


松田先生は俺が惚れすぎているから仕方ないな。

考えようによっては

てまりちゃんはお得だったんじゃない。

働き者で、自分を愛してくれる男に守られて好きに生きられる。

パティシエの仕事も子育ても

お前は全力で応援するだろう?

それって妻にすれば幸せな事なんじゃないの?

おまえを顎で使ってそのうち昼寝をするようになるかもしれないな。

と笑われているようだ。


そう言われれば、

妊娠したからのてまりはよく寝るようになって、

家事は俺も結構できるようになって来ているだろうか…

てまりに笑ってもらえると、俺はすぐに嬉しくなってなんでもしてしまいそうだし…


とふと考えて、


もしかしたら

俺はてまりを捕まえたつもりでいたけど、

俺は自らてまりのテノヒラノウエに飛び乗ってしまったのかもしれない。

そう思って可笑しくなり

お腹をそうっと撫でているてまりを満足な思いで見つめる。


いいよ。

てまりが幸せならば、俺も幸せだ。

いくらでも

俺はてまりのテノヒラノウエで踊ってやるのだ。


〜おしまい〜








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