熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
「こうしてみると、あなたってハンサムね」
ファイサルのことから、
話をそらそうと思った。
ムスタファに分からないように
日本語で言ったのだけれど、
ハンサムっていう言葉は通じたみたいだ。
『なに言い出すんだ?』
とすぐに胡散臭そうににらみつけて来た。
褒められたっていうよりは、
けなされたと受け取ったのかな。
『別に、誘惑したいわけじゃないよ。
いくらあなたがいい男でも、
ファイサルほどじゃないもの』
『だったら、俺のことに構うな。
放っておけよ』
チラッと見返して、すぐに黙ってしまう。
私は、深く息を吸った。
『教えて欲しいことがあるの』
『なんだ?』
『ファイサルの背中の傷のこと。
どうしてあんなふうになったの?』
ムスタファは、
私のことをチラッと見てから言った。
『ファイサルは、
俺たち周りの言うことを聞かずに
、一人で母親のところに行ったんだ』
『お母さんのところ?』
『そうだ。6年前ビジャールに帰った後、
護衛の目を盗んで、
人質になってる母親と自分を交換しろと、
一人で改革派の組織に乗り込んでいった』
『一人で?なんてことを……』
『幸い、改革派の組織のところに
たどり着く前に、
ファイサルを捕まえることが出来た。
でも、その時にファイサルが
ひどく抵抗して、傷が出来てしまった』