熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~



季節は春の終わり。
桜も散って、若葉が出そろった頃。

キャンパス内の春は、
この時期だけ、にぎやかになる。
サークル内で、新入生の勧誘は、
2年生の役目だった。

私も同じ2年生のクラブの男の子たちと、
折り畳み式のテーブルで簡単なコーナーを作って、
新入生が出てくるのを待ち構えていた。

うちのサークルは、
お揃いのTシャツなんか着て、
派手に勧誘してるサークルや運動部に比べると、
明らかに見劣りがした。


毎年、極度の旅行好きか、鉄オタに温泉好き、
旅行会社に就職したいなんて学生が、
数人希望してくるだけの弱小サークルだから。

全然、目立たなくても構わない。
来たかったらおいでっていう、スタンスだ。

無理に勧誘なんかしたら、
組織の雰囲気も変わってしまう。
だから、地味なのも仕方がない。

派手なところは、
キャンパス内にポスターもべたべた貼っていた。

サークルの可愛い女の子が2人組でやって来て、
客引きみたいに、新入生の男の子たちの
両方の腕を引っ張って、
私たちの目の前から新入生をかっさらって行く。


「なんだ、あれ」
孫田君が舌打ちする。
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