レンタル彼氏–恋策–
音楽活動をはじめ、恋愛関係で深くつながっている紗希ちゃんと凜翔を引き離すなんて、無理な話。それに、たとえ凜翔のことが好きで好きで仕方なくなっても、略奪だけはしたくなかった。それじゃあ、昭の心を持って行った人と同じになってしまう……。
凜翔とのことを後押しし応援してくれた優には申し訳ないけど、もっと他の人を好きになれるよう努力しよう!そうと決まれば、手当たり次第出会いを求めるまで!
幸か不幸か、ほとんど大学に来ない杏奈ですら知っているくらい、優は大学で有名だ。私達が別れたことは瞬く間に全学生に知れ渡ったので、合コンへの誘いもおのずと増えた。
とはいえ、大学祭の準備やバイトで忙しいので、合コンの誘いがあってもなかなか参加できずにいた。
よく知らない男女と遊ぶ、そういう類の集まりに苦手意識もあったけど、仲の良い友達となら楽しく参加できそうだったので、可能なら参加したいと思っている。
大学祭まで残り10日を切った頃、パタリとそういう誘いがなくなった。それと同時に、学内で会う友達の反応もそっけない気がした。忙しさのせいで合コンの誘いを断ったせいかもしれない。
そんな時、トイレで知らない子達に指を差されて陰口を言われていることに気付いた。
「ほら、あの子だよ〜」
「相馬君の元カノ!遊び人なんだって」
「おとなしそうな女ほどこわいって言うしー」
「それね」