愛され系男子のあざとい誘惑
つけまつげにアイシャドウ。決してケバくならないように私に合った色合いで作り上げてくれた京香。これなら少しは自信が持てる。京香に感謝しながら鏡を見つめていた。


「えっ?!なんで下?」

バッグや靴も合うものを用意してくれて、きわめつけはゴールドの透かしフリルがついたパールのイヤリング。


耳に違和感は感じたけれどさりげなく髪を耳にかけると揺れるのが可愛かった。


エレベーターの前に着くと、京香は上ボタンを押した後、隣に並んだもう一台のエレベーターの下のボタンを押した。不思議に思っていると、あっさり「私は行かないから」と言い放った。

「無理、無理だよ。いくらこんなに綺麗にしてもらえたとはいえ、一人であんなところに行くなんて無理!」


「シンデレラの魔法使いだって、舞踏会には一緒に行かないでしょ?私はここまで。その代わり明後日にはいろいろ聞くから頑張ってくるのよ」


「そんな、無理だって」


「無理じゃない。やるの。自分から動かなきゃ気づいたときには手遅れだってこともあるの。やってから後悔しなさい!」


22階に上行きのエレベーターが到着して、無理だと拒む私を京香はそのエレベーターに押し込んだ。


「頑張るのよ」と背中を押され、不安しか残らないけれどこんなに可愛くしてもらった京香に感謝しつつ覚悟を決めて閉まるエレベーターから京香に手を振った。
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