愛され系男子のあざとい誘惑
今までモヤがかかっていたものがスーッと取れた気がした。京香の言葉で。そっか。服に罪はないか。今までどちらかと言うと好きだったフェミニン系の洋服。


パステルカラーの色合いも生地もふわふわとした感じも。前の職場でもそんな服装をよくしていたけれど、後輩のイメージがこびりついてわざと着ないようにしていた。


ここに来るのもジーンズやTシャツといったカジュアルなものは避けてきていたけれど、封印したフェミニン系のふわふわの服は着なかった。


いつも地味で色味もないようないたって平凡なトップスとパンツ。


「・・・ねぇ、京香。今度、一緒に洋服選んでくれる?」


鏡越しに私がそう言うと「もちろんでしょ」と京香は笑顔を浮かべた。よかった、私。あの辛かった職場を辞めて。こんなにも素敵な友達に出会うことが出来たから。


彼女は、瞬く間に私をシンデレラのようにに仕上げてくれた。短くて黒髮だった私の髪の毛はヘアウィッグを使ってキャラメルブラウンのゆるふわパーマに変身した。


「うん、可愛い。てか変わりすぎて彼が気づかなさそうだわ。まあそれもありか」

「 すごいね。髪型が違うと別人。これならショートもロングも楽しめていいね」
< 34 / 77 >

この作品をシェア

pagetop