愛され系男子のあざとい誘惑
「イヤリング!これ探してたんです。ありがとうございます」


京香に借りたイヤリング。結局思い当たるところは何度も探したし、見つからなくて似たようなものを買って京香には謝った。


『わざわざ買ったの?あれは私から優美にプレゼントするつもりだったのに。でもあんたのそういう律儀なところが好きだったりするわ、私』


京香はそう言って笑って許してくれたけど、そんな京香の優しい気持ちが込められていたイヤリングなら尚更見つけたい。


シンデレラの時間が夢でも嘘でもなかったと思えるならせめてあのイヤリングだけでも見つけたいとずっと片方のイヤリングだけは大事に持っていた。お守りがわりとしても。


だから私は失くさないようにポケットに入れていたイヤリングをそっと取り出した。


「はい、二つ揃ったね。これ、落ちてるの見つけたときに、絶対に自分で優美ちゃんを見つけ出して返そうって決めたんだ。でちゃんと優美ちゃんに話そうって決めた。だからやっと見つけられて本当に今俺、嬉しいんだ」


「私を見つけ出す?」


「そう、だから時間をちょうだいって言ったんだ」


嬉しそうな笑みを浮かべてそう話す社長。私を見つけ出したかった。どういうことなんだろう?後からゆっくり話すねと言われて私は「はい」と答えることしかできなかった。
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