スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
普通に声をかければいいのに、緊張してしまい足取りもゆっくりになる。

すると、明かりの先から人の声が聞こえてきた。反射的に壁際に身をひそめ、そっと覗く。

すると、眠っている萌さんを抱きかかえた亮平さんと、申し訳なさそうな顔をした中年の男性がいた。

とてもスマートな雰囲気で、品のある男性だ。

「すまなかったね、亮平くん。娘が迷惑をかけて」

ということは、この人が浅井社長ーーつまり萌さんのお父さんか。

「いえ。今夜は客室が満室なので、社長に迎えに来ていただくしかなく……。すみません」

亮平さんは萌さんを、浅井社長に渡している。こちらから見える彼の横顔は、どこか切なそうだ。

「萌はね、きみと無理やり別れさせてから、心を閉ざして物事に投げやり気味になっていたんだ」

浅井社長の言葉に、亮平さんは黙っている。でも、さっきよりその表情は悲しそうになっていた。

「本当に、後悔しているよ。亮平くんと結婚していれば、萌は幸せだったろうに。なあ、亮平くん。今からでも、娘とやり直してもらえないだろうか?」
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