スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
今日は遅刻ができないし、財布事情は厳しいけど、タクシーで行こう。

と、足早にタクシー乗り場に行ったけど、ここも行列だ。順番待ちで、どれくらい時間がかかるか……。

仕方ない、もう少し先にもタクシー乗り場があったはず。ここにいても時間が経つだけだし、すぐに乗れるか分からないけど、一かばちかで行ってみよう。

水たまりを避けながら、苛立つ気持ちを抑えて賑やかな通りを歩いていく。この辺りも、高級マンションが建っているんだなと、改めて知った。

「ホント、ついてないときは、とことんついてないのよね……」

ため息をつきながら歩いていたとき、横断歩道の先で、見覚えのある車が停まったのが見えた。

「もしかして……。亮平さんの車⁉︎」

きっとそうだ。かろうじて見えるナンバープレートの数字に、記憶がある。

どうして、こんなところにいるんだろうという疑問よりも、会いたいという気持ちが先にきて嬉しくなってくる。

それなのに、タイミング悪く歩行者信号は赤だ。もどかしい気持ちのまま、信号待ちをしていると、助手席から女の人が降りてきた。
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