スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
傘をさしているけれど、横顔はハッキリと見れる。遠くからでも確信できたその人は……萌さんだ。

昨日会ったばかりで、記憶は新しいから間違いない。しかも、彼女の服装は昨日と同じだ。

どうして萌さんが、こんな朝に亮平さんの車から降りてくるの? 混乱する頭の中で、呆然とその光景を見つめる。

すると、今度は運転席から亮平さんが降りてきた。傘もささず、スーツ姿の亮平さんは、萌さんになにかを話している。

歩行者信号は青になったけど、進む気になれない。ボーッと立っている私に、邪魔そうな顔でぶつかってくるビジネスマンがいた。

だけど、それも気にならないほどに気持ちは動揺を越えて、なにも考えられなくなっている。

横断歩道を渡る人で、ふたりが見えなくなっている間に、話は終わったのか、萌さんがマンションの方へ歩いていく姿が見えた。

そんな彼女を、亮平さんは雨に打たれながら、しばらく見つめている。

雨に濡れることも気にしないで、なにを考えながら萌さんを見つめているの……?

追いかけたいの? また、やり直したいの?

私と、別れたいの……?
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