スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
彼の持っていたアタッシュケースと紙袋が、鈍い音を立てて床に倒れる。

「亮平さん、婦警さんもいらっしゃるので……」

戸惑いながら言った私の言葉に、亮平さんはなにも返さない。ただ強く抱きしめた。

「俺は、実和子に対する愛情に、なにひとつ変わりはないから。怖かったろ? 守ってあげられなくてごめん……」

亮平さんの震えが伝わってくる……。どんな私でも、受け止めてくれるんだ……。

彼に会えて安心できたのか、涙がこぼれ落ちてきた。

「亮平さん……。すごく嬉しいです。こうやって来てくれたことも」

「当たり前じゃないか。俺にとって実和子は、かけがえのない存在だから」

亮平さんはしばらく私を抱きしめたあと、婦警さんに頭を下げた。

「お世話になり、ありがとうございました」

私たちのやり取りを、静かに見守ってくれていた婦警さんが、小さな笑みを浮かべた。

「いいえ。橘さんが通報してくださって、良かったです」

「えっ? 亮平さんが通報してくれたんですか?」

どうして……? 疑問に思っていると、「あとで話すよ」と言われてしまった。

「それから橘さん、まだ大事なことがお話できていないんです」
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