いつも、雨
「ほな、俺も約束するわ。領子さま以外の女とは、やらへん。……男とも、な。」

冗談っぽくそう言ったけれど、領子にはちゃんと本心だとわかった。


領子は、喜びに顔を輝かせて、勢いよく伸び上がった。


不意打ちだった。

領子は、強引に要人の唇にキスした。


勢い余って、鼻がぶつかった。


びっくりした。

キスしてきた領子も、された要人も目をパチクリさせていた。



まさか領子に先に襲われるとは、思ってもみなかった。

……参ったな……。


こみ上げてくる愉悦に肩を揺らして、要人は領子の両頬を両手で包み込んだ。

「ほん……まに!行儀悪いお姫さまやなあ。」

むにっと柔らかい頬を指で摘まんだ。


「……だって……待ってても、してくださらないもの。……わたくしが、何年、待ってたと思ってるの?」


無理矢理、変な顔に歪めても、領子の美しさは損なわれない。

要人は感嘆して、額をコツンとくっつけた。

「ごめん。……でも、領子さまより、俺のほうが……ずっと長い時間、待ってた……いや……待ってる……。」

切なくそう言うと、身体の奥が震えた。


……マジで、いつまで我慢できるか……けっこうな試練だな。


要人は、目を閉じた。

領子のまばたきが風を起こす。

くすぐったいような、心地いいような……やわらかい充足感に満たされる。



「……きすぅ。」

小声で領子がつぶやいた。

おねだりしているらしい。


要人は苦笑して、唇を重ねた。

小さな口の中を、これでもかこれでもかこれでもか!と舌で蹂躙し、唾液を奪い尽くすように舐めとり、自分の唾液を何度も流し込んだ。


領子は目を白黒させて、されるがままになっていたが、……しだいに全身から力が抜けていった。

唇が離れると、領子はずるずると滑り落ちるようにへたばり、這いつくばった。



……び……びっくりした……。

まさか、こんな……最初から、こんな、濃厚なディープキスをしてもらえると思わなかった。

やっぱりお兄ちゃん……もとい、竹原……オトナなのね……。

てか、こんなこと、他のヒトとやってたとか……信じられない!信じたくない!

やだやだやだ!
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