君の声が、僕を呼ぶまで
その時、また保健室の中から、声が聞こえた。

「華、お前、相川さんに何て事言ったんだよ!」


こないだ、怪我した沙羅を背負っていた…沙羅を愛しそうな目で見ていた、先輩だ。

問い詰めるように怒鳴っている相手は、山崎さん…?

そっぽを向いて、頬を膨らませている。


「だって…」

「だって、何だよ」

山崎さんは、ゆっくりと、先輩の方へ向き直る。


振り返ったその目は、とても鋭く、冷たい。

悪気があるのを一切隠しもせず、ただそれが、まるで何かに裏打ちされた確固たるものであるかのように、低くて重たい声で、その言葉を紡いだ。


「だって、華は気持ち悪いと思ったんだから、それの何がいけないの?」


あぁ、その言葉は、治りきった傷を何度でも何度でも抉り直せる、無限に使える魔法のような呪いの言葉だ。
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