君の声が、僕を呼ぶまで
「あら、おはよう、小春」

お母さんが気付いて声をかけてきた。


「サラも、おはよう」

私の後ろにその身体のほとんどを隠してしまっているサラにも、同じように挨拶をするが。

サラはだんまりを決め込んでいる。


「今日もサラは、私には挨拶を返してくれないのねぇ」

声色を落として残念そうに溜息をついているけど、これも毎朝恒例の事。

お母さんは、どこか楽しんでいるような表情すら浮かべている。


「目玉焼き焼くから、先にパン食べちゃいなさい」

くるりと台所の方へ向き直って、朝食の準備の続きを始めてくれた。
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