君の声が、僕を呼ぶまで
「…もう、サラったら。一回くらいお母さんに挨拶してあげればいいのに」

隣に座っているサラに、こそっと耳打ちすると。


「小春が悪いんだ」

ふてくされて答える。



「“サラ”なんて女みたいな呼び方するから皆が真似する」

「だって、“サリヴァン”じゃ長いじゃない」

「そもそも“サリヴァン”なんて付けるのが悪いんだ」

「それを付けたのは私じゃなくて、お母さんだよ」

「そりゃ、小春が“サラブレッド”だなんて、もっとありえない名前を付けようとしたからだろ」

「えぇー、だってなんか、賢くて優秀そうじゃない?」

「とにかく僕の名前は“サリヴァン”なんだから、せめて愛称は“サリー”とかさ…」

「そっちの方が女の子みたいだよ。いいじゃない、“サラブレッド”の名残から取ってサラ!可愛いでしょ」


「…まぁ、小春がそう呼ぶのは許してあげるけど…」

「ふふっ」

「なに笑ってんだよ」


「別にぃ」
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