君の声が、僕を呼ぶまで
「植木さん、塚倉先生が呼んでるー!」

クラスメイトが、教室のドアの方から声をかけてきた。


「わ、桜子の方が、賄賂渡すチャンスじゃない?」

「保健の先生に賄賂渡したって、中間テストの成績は上がらないよ」

「カウンセラーってところを利用して…」


沙羅は時々、少しズレた事を言うから、話していて飽きない。


「無理無理」

「ですね、学級委員は大変だ」

「大変だって思わなかったら、案外、大変じゃないよ」

「やっぱり、桜子は部長にもふさわしい人材だよねぇ」

「あ、そっか、今日から部活か。ごめん、沙羅、先に行ってて」

「はぁい」


ひらひらと手を振る沙羅に見送られ、私は、教室のドアの方へ向かう。
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