君の声が、僕を呼ぶまで
僕は、それから保健委員に立候補して、何かにつけて保健室へ行く理由を探しては、彼女を探すように通った。


塚原先生は、極力、彼女を他の生徒の目に触れさせないよう、気を配っている。


怪我人が来たら手際よく処置をしてすぐに帰すし、具合が悪い生徒をベッドで休ませる時は、彼女にもカーテン付きのベッドの中でゆっくり過ごすように言っていたようだ。

僕みたいに、片手間で済む委員の用事なんか、中に通す事なく、入り口で終わらせる。


まるで、深窓のお姫様と、それを守る騎士だ。
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