幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
手を伸ばしていいのか躊躇したものの、胸が大きく高鳴っていた。
「受け取ってくれますか?」
振り返ると真面目な顔をした飛駒が私を見上げていた。
台の上にワザと登らせて、小さな私が大きな飛駒を見下ろせるように。
「結婚してください。……一生離れたくないからさ」
震えながら手に取った箱のリボンを引っ張って解く。
すると上品なシルバーリングの上にぽとりと落ちた幸せのような宝石が埋め込まれていた。
「びっくりした。この指輪、どうしたの?」
震える声と滲む視界の中、笑っているのか泣いているのか自分でも分からない。
驚いたのに涙がこみ上げてくる理由だけは分かる。飛駒が私に幸せをくれたから。
「美結が眠ってるときや、手を繋いだ時に測った。絶対ぴったりだから手を出して」
「う、ん」
立ちあがった飛駒の長い指が、リングを摘まむ。
そのまま恭しく、私の指にはめるとまるでオーダーしたかのようにぴったりだった。
「返事を聞いてもいいでしょうか?」
真面目な、緊張が走る飛駒の声が愛しかった。
薬指に光る指輪に口づけしたあと、その唇で答えた。
「よろしくお願いします」