幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!


そんな顔、ずるい。
睨むことをやめた飛駒の顔は、甘くとろけて私の心臓を掴んで離さない。
胸が苦しくなるから、そんな甘い言葉や視線はほどほどで止めてほしい。

「私も、飛駒の優しさや愛情に気付いてからすっごく楽しいよ」

大変なのに、色々と頑張ってくれてありがとう。
そう言ったら、目を細めて微笑んだ。
それが照れ隠しだと気付いたのは、最近だ。
最近、飛駒の目が怖くなくなって真っ直ぐ見つめあえるようになってから。

「そうだ。キッチンの上の扉にフライパンあると思うんだけど探してくれる? 俺あっちの段ボール見てくる」
「フライパンの場所も分からないの!?」

だったら葵くん達の家のマンションでオムライスの特訓をすればよかったじゃない。
なんでわざわざ飛駒のマンションにしたんだろう。

疑問に思いつつも、私の身長にぴったりな土台を見つけ登って、上の扉を開けた。

「……えっ」

開けたその扉の中に、フライパンは無かった。
けれど代わりに、真っ赤なリボンで結ばれたベルベッドの箱が置かれていた。


「飛駒?」
< 170 / 172 >

この作品をシェア

pagetop