純粋な思いは危険な香りに誘われて
あたしは彼から視線を外してお酒を飲んだ。


今井くんは既にあたしなんか忘れたように他の人と話しては笑っている。


りんごのリキュールをジンジャーエールで割ったものがあたしのお気に入りだ。なんとなく落ち着いてほっとする。


別に本気じゃない。酒の席で本気で言うほど純粋じゃない。


ただのノリ。酒のせいで口から出たただの冗談。


今井くんはそうだろう。でもさっきの言葉を冗談にできるほどあたしの気持ちは隠せるようにできていない。


笑い飛ばしてしまえるほどの気持ちならよかった。重く引きずる思いなんて抱えない方が楽だ。


こんなことを考えているあたしはきっとおかしいのだ。


深く息を吐いて我に返るとやっぱりこういう場は好きじゃないと思った。


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