絶望の空の色
そうして私たちはまた仕事と言う名の戦場へと向かう。
へろへろになって仕事と向き合う私たちはたまにバカなんじゃないかなって思うこともある。
けれど捨てられないプライドがある。
ここを訪れる人が幸せであるように。
明日のことはわからないから、何年後にどうなってるかなんてわからないけれど、せめて。
ここに来たときから、ここを出るときまでは笑顔で幸せでいられるように。
それが私たちの仕事で、プライドで、つまりやっぱり私たちは“仕事バカ”ってことなんだろう。
不意に見上げた空に、すぅ、と飛行機が通る。
「あ、飛行機」
「お、ほんとだ」
「そういえばもうすぐだね、新婚旅行」
「念願のハワイだな」
「そのためにも仕事バンバン片付けないとね」
「さっきも同じようなこと言ってたけどな」
「それは仕方ないよね」
そりゃそうだ、とふたりで呟いて再び歩き出す。
きっと多分、日野夫婦に負けないくらい、私たちもお似合いなんだ。
だけど仕事から帰ればきっといつも、そこには。
笑顔の食卓が私たちを待っているから。
明日のことがわからないのは私たちも同じ。
いつかどうなる、なんてこともないとは言えない。
けれど一つずつ、笑顔を残していけば。
振り返ればずっと寄り添っていられる気がするんだよ、あなたとなら。
きっとどこまでも続けていくことができる気がするんだよ。
この空の、青のように。
絶望の空の色・完


