小倉ひとつ。
甘やかでも円やかでもなく、耽美でもなく、妖しくもなく、艶めかしくもない。


ただひたすらに、穏やかな微笑み。


瀧川さんは、匂い立つような美しい容姿だけれど、それよりも先に、とにかく穏やかで爽やかな印象を与える。


端正な顔立ちの人だな、と思う前に、爽やかな人だな、と真っ先に思うのは、瀧川さんだからこそだろう。


瀧川さんが爽やかなのは、彼の性格や考えや、それに基づいた表情や仕草から自然と連想されるのだ。


総括すると、思わず目が姿を追うような雰囲気——華があるって、こういう人のことを言うに違いない。


均整のとれた細身の長身に、ぱりっとした質のいいスーツがよく似合う。


濃い紺のスーツと茶色い革靴には別段目立つ要素はないのに、瀧川さんが着るとものすごく素敵に見える、この不思議。


彼が入店するとそこだけ雰囲気が変わる。穏やかなのに人目を引く。


立っているだけで絵になるって、すごい。


勤めているのはここから近い大手IT会社の支部だというし、洗練された立ち居振る舞いは実にスマートで、瀧川さんはいかにもデキる男なのである。
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