笑え、オリオン座

レールの上を電気で走る車がゆっくりと動きだし、加速する。
ふとガラス越しに街を見ると、イルミネーションが見えた。
クリスマスツリーのようなものも見える。
日がおち、漆黒に包まれるはずのこの地上を見事に照らしていた。
もうそんな時期かと頬を緩ませる。

駅にとまり、たくさんの人が乗り込んでくる、向かいのホームにも電車がとまっていて、そちらに目を向けると、一人と目があった。
私と同じように、開いていない側のドアによりかかり、こちらを見ていた。
漆黒の髪、漆黒の瞳、服は学ランで、もちろん黒い。
それとは対照的に、顔の色は白く、整っていた。
目線が交わり、なんだか気まずい気がしたけれど、彼がこちらをじっと見ていて目をそらすのはなんだか気が引けた。
それとは別に、ただ純粋に彼の目が綺麗で、ずっと見つめていたいと思っていた。

ベルが鳴り、ドアが閉まったのは私が乗っている電車。
ゆっくりと動き出すけれど、私たちは見つめあったまま…。
彼が見えなくなっても彼のいた方を眺めていた。
電車が発車してから少し時間が過ぎ、ボーッとしていたことに気づく。
そして、ドアの向こうに目を向けるとなぜかガラスに写った自分と目があった。
ガラスに写る自分は、心なしか、頬が赤いような気がした。
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