PromiseRing
とある会社の会長が、成紀のことをえらく気に入ってるって。
孫娘と結婚させて、跡継ぎに迎えたい、とか。

会社でそんな噂を聞くたびに、左手で指環を押さえてた。

きっとそんなことはないって信じたかった。

けどやっぱり、成紀は誘惑に勝てなかったのだ。
しかも件の孫娘は大学生とのとき、ミスキャンパスに選ばれたほどの美人。
迷わない……どころかそちらを選ばないわけがない。

絶対にそのときがきても泣かない、そう決めてたはずなのに胸が詰まる。
視界が、滲んで見える。

「おまえなんか、勘違いしてないか?」

「え?」

わけがわからなくて視線を上げると、涙がとうとう零れ落ちた。
成紀の手が伸びてきて、落ちた涙をそっと拭う。
困ったような笑顔に困惑した。

「もう、プロミスじゃないってこと」

ポケットに手を突っ込むと、成紀はなにかを取り出した。
そして蓋を開けて中身を取り出すと、私の左手をとった。
< 34 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop