【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-



え!?と。

大げさにおどろくわたしと、普通におどろいているまわりのみんな。由真ちゃんだけは、不思議そうな顔してるけど。



「もしかしてちあちゃんから聞いたの!?」



ちあちゃん2代目だから知ってるんじゃ……!と。

仮説を立てたのに、「そうじゃなくて」と一蹴されて、あえなく撃沈。



「聞いたんじゃなくて。

……千秋が、月霞の初代なんだってば」



「……はい?」



「だから、あとで思い返せば黒歴史になりそうなほど必死に女を奪い合って東と西で暴走族をつくった男の東側は千秋なんだって。

実際黒歴史になったから、東と西どっちも、初代の奴らがまるでほかに初代がいたみたいに架空の設定作り上げて、しれっと2代目だって言ってんの」



な、にそれ。

ということはつまり、初代と2代目は同じ人ってことなのよね? いままで初代の情報が出てこなかったのは、2代目が完全に自分たちの歴史を隠したからなのよね?




「……ってことは、

そのとき奪い合われた女の人って、」



「まあ俺の義理の姉貴だよね」



「………」



世間ってせまい。

というか知ってたなら教えてくれてもよかったのに。べつに言いふらしたりしないんだから。



「結局千秋と付き合うことになって決着ついて、我に返ったときに東も西も大げさに暴走族なんかつくりあげて、自分たちの行動が一瞬で黒歴史になったんだってさ。

女に本気になりすぎなんだってばかみたいでしょ?……って、莉胡に言おうとしたこともあるけど」



「……ある、けど?」



「完全に俺と兄貴の恋愛面の遺伝子がおなじだなって自覚したから言うのやめた。

たぶん同じ状況に陥ってたら、俺も似たようなことしてただろうし」



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