旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「別に恋人なんかにならなくていいから。都合よく足開いてくれればそれでいい。……それだけで一番大切な人を守れるなら、安いものだろ?」
安い、もの。
私が彼に体をあずければ、それだけで玲央さんの体裁は守れる。
失望されることも、笑われることもない。
まるで呪文のように、その言葉がぐるぐるとめぐる。
本気なのか冗談なのかわからないような目で見つめながら、彼が伸ばした左手は私の頬を撫で、首筋へと下る。
どう、しよう。どう、すればいい?
「触るな」
その時、響いた声とともに首筋に触れた手が突然引き離される。
驚いて顔を上げれば、そこには私たちが座る席の横に立ち、関さんの腕を掴む玲央さんの姿があった。
「玲央、さん……?」
驚く私と同様に、関さんも目を丸くして玲央さんを見上げた。
「なんでお前がここに……?」
「うちの嫁がソワソワして怪しかったからな。秘書につけさせてたらこれだ」
「え!?」
ひ、秘書にって……檜山さんに!?
驚いて窓から外を見れば、お店の横の道路に停めてある玲央さんの白い車と入れ替わるように出て行く黒い乗用車を走らせる檜山さんが見えた。
きっと今まで私をつけて、玲央さんを呼んだところで戻っていったのだろう。
ぜ、全然気づかなかった……!
ていうか、朝から私やっぱり怪しかったんだ!
帰りの時間をたずねた時点でよそよそしさは拭いきれなかったのだろう。分かり易すぎる自分が情けない。