旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~



「そうやって、目に見えるスペックだけで相手を測って、勝った気でいて満足か?」

「え……?」

「あいつは、いつも向き合ってくれる。……逃げ腰の面倒な俺からも目を逸らさないでいてくれる。恐怖も幸せも、一緒に大切にしてくれる」



いつだって笑顔で、包んでくれる。

そんな彼女の存在は、この胸をこんなにも大きく占めてしまう。



「そんな杏璃だから、笑ってくれるとうれしい。泣かれると抱きしめたくなって、守りたいって思う」



誰になにを言われたとしても、そばにいたいと思うのは、彼女だけ。



「そ、そんなの瑠奈だって……」

「お前は、俺の生まれ育ちが今と違くても見向きしたか?」

「え……?」



唐突な俺の問いかけに、瑠奈は目を丸くする。



「もしも俺が今、社長を辞めて普通の会社員になって、それでも一緒にいると言ってくれるか?」



もしも、の話。けれどここで容易に頷いて、『もしも』俺が今の立場を捨てたら。そう想像すると頷けないのだろう。

その瑠奈の反応ひとつで、言葉などなくても答えは読み取れる。



「……俺は、一緒にいるなら『立花玲央』の俺と向き合ってくれる人とがいい」



かっこ悪くたって、どんな俺とも向き合ってくれた。

だからこそいっそう、彼女の存在がこの胸に色濃く焼きつくのだろう。




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