凶器は壊れてしまったから
じゃん!と言った真希の手には
鍵がぶら下がっていた。

「鍵…?何の鍵なの?」

委員長が真希に問いかけた。

「これはねー桜木さんのなの!」

にこりと微笑む彼女の顔は
美しかったが、汚れていた。

「えっ…桜木さんって…桜木梓さん…?」

そうそうといって彼女は鍵を
ゴミ箱に放り投げた。

「死んだ親の形見なんだって!
 なくなったら焦るだろーねー!!」

真希は高らかに笑った。

何人かの女子がざわつきはじめた。
「何?何か文句でもあんの?」

真希はキッとざわついた方を睨みつけた。

ないよ!と焦るように
女子達が真希の機嫌をとる。

ぱたぱたと廊下から足音が聞こえた。

「あらー?桜木さんかしらー?」

クスクスと笑ってゴミ箱を元の場所に戻す

カラッと静かな音を立てて桜木さんが入ってきた。

「私の鍵知らない?
 ペンダントになっているの。」

桜木さんが見た方の女子が目を逸らし
口々に知らないよと言った。
桜木さんは真希がいる方へ歩いて行った

「赤井さん。私の鍵知らない?」

クスっと真希が笑いゴミ箱を指差した。

「あそこじゃないー?」

桜木さんはため息をついてゴミ箱へ向う。
ゴミ箱をあさり鍵を見つけありがとうと
言って彼女は教室を出た。

「なんなのアイツっ!ムカつく!
 もっと焦ればいいのに…!」

爪を噛みながら真希は言った。
あーそうだー!と言って真希は
早く早くと言い数人の女子を集め
廊下を出た。

「五十嵐さん」

誰かに呼ばれて振り向く
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