社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
私を見下ろす社長を見つめる。



「花菜、終わった?」


「えっ?今日は自分の家に………。」


「帰らせない。終わった?」


「…………。」


「急にどうしたんだよ?俺が嫌になった?」


「………違う。」



俯いて首を大きく横に振った。社長の声が柔らかくなってきた。



「俺が嫌い?」


「違う、嫌いじゃない。ただ………。」


「ん?」


「…………。」



私は黙り込んだ。社長と繋がれていない反対の手が、優しく頭を撫でてくれる。


社長の優しさに唇を噛み締める。



「社長はいつも優しすぎる!」



社長と絡まる指を振り払い、俯いていた顔を上げる。社長は目を見開いて驚いている。



「社長のその優しさが逆に………何も出来ない私を惨めにしてる!」


「惨め?」


「私は社長に何をしてあげられる?何でも完璧な社長に何をしてあげられる?」



一気に捲し立てる私に社長がニヤリとした。その顔に眉間に皺を寄せた。
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