社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
「俺に何かしてくれるのか?」


「………、社長は一人で何でも出来るから、私は必要ないでしょ。」


「一人で何でも出来る?花菜は必要ない?」


「事実でしょ。ごめん、今日は帰り……。」


「帰らせない。」



社長の指が再度私の指に絡まる。そのままフロアーに出ていく。


驚きに手を振り払うが絡まる指は解けない。



「社長。」


「花菜、帰る準備しろ。」


「手を………。」


「離さない。聞き分けのない花菜にはお仕置きが必要みたいだ。」


「ちょっと。」



ズンズンと手を繋いだままフロアーを進む。疎らに座っている社員の視線が突き刺さる。



「社長、見られてます。」


「ああ。ほら、準備しろ。」



私の席に到着しても繋がれた手は離されない。私は急いで帰り支度をした。



「社長、ここは会社です。」


「坂本、長嶺は帰る。少し用事ができた。」



坂本さんの言葉にも気にする事なく、社長は繋いだ手を離さない。
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