社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
「別れたら俺と付き合って。」



奥寺を見ればニヤリとした表情をしている。



「冗談でしょ。」


「本心。」


「顔が嘘っぽい。」


「酷いな、生まれつき。」



奥寺と話していると落ち着く。相談しやすい感じがする。



「ふふっ、考えとく。」


「考えとけよ。」


「考える必要はない。」



社長の言葉に奥寺と目を合わせて笑った。



「長嶺、悩みすぎるなよ。」



奥寺の小さな呟きに小さく頷いた。


結婚なんて先の話だ。



「24なんだし、先の話だね。」


「だな。俺も考えた事なんてない。」


「ふふっ、だね。」



奥寺とクスクスと笑っていれば、社長に引き寄せられた。



「花菜、俺は………。」


「社長、長嶺はまだ若いですよ。」


「わかってる。奥寺、絶対にチャンスは来ないからな。」


「社長から奪うつもりはありません。」



社長と私の年の差。


社長と私の家柄の違い。


結婚なんて………現実離れしている。
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