社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
二ノ宮グループ

初温泉旅行

「……な、花菜、起きろ。」


「ん?」


「宿に着いた。ほら、起きろ。」


「えっ?」



健人さんに凭れていた体を勢いよく起こした。辺りを見渡せばタクシーの中だ。


急いで開いているドアから降りた。



「すみません、健人さん。」


「いいよ、いつもだろ。お酒を飲むと寝るのは。」


「うっ………。」



言い返す言葉が見つからない。


健人さんに手を引かれ、目の前に建つ高級そうな旅館に入っていく。


豪華な旅館にキョロキョロと周りを見渡す。庭には日本庭園らしい景色が見える。



「遅いから明日にでも探索するか?」


「うん。」



夜も遅いが、挨拶をしてくれた女将がきっちりと着物を着こなし、案内をしてくれる。


きっと健人さんが連絡を入れてくれていたに違いない。



「二ノ宮様、こちらでございます。」


「夜分にありがとう。」



女将にお礼を述べる健人さんの横で私も軽くお辞儀をした。
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