社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
突き刺さる視線を無視して、花菜の肩を抱き寄せる。


初めは体を捩って抵抗していた花菜だが、諦めたのか大人しく飲んでいる。



「長嶺さんの彼氏?」


「会社の社長?」


「社内恋愛?」



疑問が次々と吐き出される彼等に微笑みながら対応する。


夜も遅くなり、協力会社の若い社員と挨拶を交わして解散する。



「長嶺さん、連絡する。」


「うん。」



花菜が手を振っている。俺は花菜の肩を抱き寄せて耳元で囁く。



「タクシーで温泉宿に帰る。寝るなよ。」



頬を染めて俺を見る花菜に鼓動が速まる。



早く抱きたい!



俺はタクシーを拾い、花菜と予約した温泉宿を目指したが――。



「予想を裏切らないな、花菜は。」



俺に凭れて寝息を立てる花菜に笑みを浮かべる。


花菜は飲むと寝るタイプだ。



「今のうちに寝とけ。」



花菜の髪を優しく撫でていく。久し振りに触れる花菜の感触を堪能していた。
< 160 / 240 >

この作品をシェア

pagetop