社長の甘い罠～いつしか当たり前に～ ＋ 番外編

二人での温泉旅行はあっという間に終わった。


東京に戻る新幹線の中もずっと手を繋いでいた。健人さんに凭れ、コソコソと話し合いをする。



「今日は俺の家に来い。」


「無理。久し振りに帰らないと。」


「帰る必要あるのか？なら、一緒に花菜の家に行く。」


「健人さんも一人で………。」


「花菜といたいって言ってるだろ。」



私が帰る場所について話し合っている。久し振りに自分の家には帰る必要がある。



「明日から会社だし、ポストとか色々とやりたいし。」


「なら、一緒に行く。」


「健人さんも疲れるよ？」


「リフレッシュしたし、花菜となら疲れない。」



絶対に引こうとしない健人さんの耳元で囁く。



「飽きられたくないの。」


「飽きないし。」



耳打ち作戦も駄目だ。仕方なく、私は健人さんと一緒に自分の家に帰る事にした。



ブブブ……、ブブブ……。



健人さんのポケットに入れておいた携帯が振動し始めた。