社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
「長嶺、別に長嶺自身が駄目じゃない。ただ、生まれた環境の違いだ。」


「………わかってる。」



急に悲しくなってきて、俯き唇を噛み締める。



「社長………結婚相手も言われてた。T&Tコーポレーションのお嬢様なんだって。」


「T&Tコーポレーションか………。」


「前に同棲は簡単にするなって話してたでしょ?ちゃんとわかってる。」


「長嶺?」



藤村の悲しげな声が聞こえてきた。



「ちゃんとわかってるから、社長とは暮らさない。だって別れる時に面倒なんでしょ?」


「………。」


「でもショックだった。わかっていても現実じゃないって思っている私もいたから。」



私は晴れ渡る大空を見上げた。眩しさに目を閉じれば、暖かい太陽を感じる。



「幸せって長く続かないのかな………。」



私の呟きだけが静まり返る空気に流れた。
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