社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
「長嶺さん、ちょっと大丈夫?」


背後から聞こえてきた声に振り向けば、長谷川さんが立っていた。


私は席から立ち上がり挨拶をした。



「長谷川さん、何でしょうか?」


「あのさ………。」


「はい?」



歯切れの悪い長谷川さんに首を傾げた。



「長谷川さん?」


「社長が呼んでるけど、今、大丈夫?」


「………急ぎですか?」



社長というキーワードに間が空く。



「急ぎではないかな?」


「用事って何ですか?」



困った顔の長谷川さんに聞いても仕方ないが一応聞いてみる。



「…………。」



無言の長谷川さんに仕事の話ではないと理解した。



「後で連絡します。」


「あっ、うん、忙しい?伝えておく。」


「長谷川さん………ごめんなさい………。」



長谷川さんに頭を下げれば、軽く頭を撫でられた。



「いや、大丈夫。伝えておく。」


「すみません、長谷川さん。」



もう一度頭を下げた。私は残りの作業を進める為に席に腰掛けた。
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