社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
「喧嘩か?」



前から聞こえてきた呟きに視線を向けた。


長野さんがニヤニヤとしている。



「長嶺、バレバレだな。」


「長野さんは彼女さんと喧嘩しませんか?」


「………知りたいのか?」


「別に興味はありません。」


「なら教えない。」



長野さんと小声で言い合う。



「喧嘩の原因って、社長のお父さんでしょ?」


「えっ?」



隣の清水さんがニヤリとした。



「進捗で社長を呼びに行ってから変だから。」


「………。」


「何か聞いた?」


「………。」


「やっぱり。御曹司は付き合うだけの男。玉の輿なんて奇跡なんだから………夢を見すぎないように。」


「…………ですね。」



清水さんの言葉が突き刺さる。



「ほら仕事。再来週には完璧にしないと。」


「あっ、はい。ってか泊まりですかね?」


「出張?今回は一泊ぐらいでしょ?」


「一泊………。」



再来週の出張に向けて作業を進めていく。
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