社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
「健人、親の前だ。」


「いいんじゃない?健人の新たな一面を見たわ。」


「孫が楽しみだ。」



聞こえてきた声に健人さんの胸を押し返せば、健人さんの腕が緩まり私から離れていく。


覗き込んでくる健人さんの瞳を見つめる。



「花菜、本当に仕事を辞めるのか?」


「結婚したら。」


「子供が出来て………あっ………。」


「ん?」



何か思い出したのか、健人さんがソファーに凭れ掛かった。



「あのさ………子供………出来てたらゴメン。」


「えっ?」


「だから………出来てたらゴメン。」



健人さんが罰が悪そうに私をチラリと見る。



「花菜が朝帰りした日、怒りに任せて………つい…………。」


「…………信じらんない。」


「花菜が怒らせるからだろ。」


「それは健人さんにムカついて………。」



ハッと我に返り、前に座る二人を見つめた。ニヤニヤと私達を見る顔は健人さんのようだ。
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