社長の甘い罠～いつしか当たり前に～ ＋ 番外編

「今朝、同じプロジェクトの先輩に言われて気付いたの。」


「何を？」


「婚約者だからって甘えすぎてるって。」


「甘えすぎてる？社長は『それでもいい』って、前に言ってたよね？」


「そうなんだけど。忙しくて家事なんて全然してない。一人なら気にもならない事なのに。」



皆の沈黙に笑って応えた。



「大丈夫。社長にも言ってから戻るし。それに………朝のボサボサの髪も見られないし。」



笑って言えば、同期の空気も和んでくる。



「わかる。寝起きは見られたくない。」


「それは男も。俺なんて髪が爆発してる。」


「俺も。寝癖治すのに時間が掛かる。」



朝の寝癖の話に変わっていく。私はクスクスと笑いながら同期の話を聞いていく。



「同棲って難しいよな。好きな奴に何でも見られるから。」


「それで失敗か？」


「過去だ。」



藤村が笑いながら過去の失敗話をする。私はそんな失敗話に苦笑いしていた。