社長の甘い罠～いつしか当たり前に～ ＋ 番外編

「無事に納品完了。」



坂本さんの言葉に私は背凭れに深く凭れた。



「今日までお疲れ。週末はゆっくりと休んでくれ。」


「坂本さん、打ち上げ行きます？」



清水さんの弾んだ声に坂本さんが私を見た。



「長嶺、来週、打ち上げの予約を頼む。社長と長谷川さんも呼んでくれるか？」


「はい。来週の何曜日に？」


「金曜にしとくか？あっ、長嶺は来週の月火と休みだよな？」


「えっ？」


「社長に聞いてないか？『月火は休みをくれ』って言われてる。」


「………。」


「まあ店の予約は頼む。」



知らない間に社長が私を休みにしていた。私は少しムッとした。



「言いたい事は言えよ、長嶺。」


「えっ？」


「顔が怒ってる。」



長野さんに指摘されて顔の力を弛めた。ムッとしたのが顔に出ていたみたいだ。


勝手に仕事を有休にした社長に腹が立ってきた。



『今日は帰ります。


長嶺花菜』



社長に社内メールをして、荷物を纏めて帰り支度をした。