社長の甘い罠～いつしか当たり前に～ ＋ 番外編

「長嶺、呼びに来い。」


「えっ？」


「だから金曜は呼びに来い。」


「…………はい。」



クスクスと笑う長谷川さんに社長が歩き始めた。その後を長谷川さんが付いていく。



「長嶺、やったな！」


「花菜、凄い。」



同期は興奮している。私は社長達の背中を見送った。



「本当に仲がいいんだな。」



奥寺を見れば、疑いの眼差しを向けられている気がする。



「奥寺？」


「仲が良すぎる気がしただけ。もう昼休み終わるし戻るか？」



「うん。」



私達は金曜の同期会の話で盛り上がりながら、オフィスに向かった。



奥寺はこの前の事もあるし、感ずいてるのかもしれない。



「長嶺、俺達に隠し事とかしてない？」



奥寺の言葉には答えられなかった。


入社して以来、毎日ランチを一緒にしている仲間にも話せていない。


奥寺の言葉に私はこの仲間になら話しても大丈夫なのかもと思い始めていた。