社長の甘い罠～いつしか当たり前に～ ＋ 番外編

「いっ、いえ。社長に相談なんて。」


「社長だから相談に乗るんだ。ほら、最近、元気なさそうだから。」


「えっ？」



驚きに社長を見上げた。真っ直ぐに私を見つめる社長と目が合った。



「疲れてる？仕事が大変すぎ？」


「あっ、いえ。」


「本当に大変なら俺に言って？坂本に………。」


「いえ。仕事とは関係ないので。ちょっとプライベートが上手くいってなくて。」


「プライベート？」



私は社長から視線を外して、片付けを再開した。



「だから大丈夫です。仕事は充実してるし、大変だけど頑張りたいので。」



「プライベートも相談に乗るけど？」



私は社長を見上げて苦笑いした。



「ふふっ、さすがにプライベートまでは。お気遣いありがとうございます。」


「…………。」



私は社長にお辞儀をすると片付けを終わらせていく。


消えない社長の気配に振り返れば、社長の心配そうな目と合った。