わたしは一生に一度の恋をしました
 彼の視線がわたしの手元で止まる。

「地図? ちょっと見せて」

 わたしは持っていた地図を彼に渡した。彼はわたしの地図を見つめると、地図上の一点を指した。

「ここに分かれ道があるだろう。恐らく君はこの一つ手前の曲がり角で曲がったのだと思うよ。この道は最近作られたばかりだからこの地図には載っていないみたい。ここまで戻ろうか」

 彼はわたしの答えを待たずに歩き出す。

「でも学校は?」

 彼は笑みを浮かべていた。

「まだ間に合うから大丈夫だよ。それにこのまま学校に行っても帰りや明日から困るだろう? だからそうしたほうがいいよ」

 わたしに気を遣わせまいと優しい言葉を掛けてくれているのだろう。わたしはその言葉に素直に従うことにした。千恵子さんの言葉もあり、学校に行くのが少し不安だったもののここに住む人は親切なのかもしれない。

 彼の後をついて行くと、見知った場所に到着した。一本道を脇に曲がる前の道だ。それから三メートルほど歩いた場所に先ほどの道より太く、舗装された道が通っていた。

「もしかしてこの道を通れば良かったの?」
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