わたしは一生に一度の恋をしました
「言い寄るって、俺から言い寄ったことは一度もないよ。変な誤解を与えるようなことを言わないで」
「ごめんね。あなたが女の子と一緒にいると、いろいろ聞かれて面倒なんだもん。姉として知っておく義務があるでしょう」

「お姉さん?」

 わたしは思わず驚きの声を漏らした。
 彼女はわたしと同じ学年なのだろうか。

 二人は同時にわたしを見た。

「こいつは僕の双子の姉だよ。姉って言っても双子だから意味はないようなものだけど。なんで学年は高校二年」

「この人は誰?」

 高宮真一に姉と紹介された少女は高宮真一の言葉を無視し、彼に問いかけていた。

「この学校に転校してきた人で、僕らの一つ年上。藤田ほのかさん」

「藤田さんってお母さんの友達の藤田さん?」

 彼女は真っ直ぐな視線をわたしに向け、優しい笑みを浮かべ、深々と頭を下げた。
 そのきれいな仕草に、同性ながらもどきりとした。

「初めまして。わたしは高宮由紀。この学校の高校二年生です」

 わたしも由紀に釣られるようにして頭を下げた。

「今からどこに行かれるのですか? わたしで宜しければ案内します」

 由紀は穏やかな表情を浮かべ、わたしに語りかけた。

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