君と、ゆびきり
デジャビュ
ハッと目を覚ますと目覚まし時計が鳴っていた。


あたしはそれを止めると、のそりと上半身を起こした。


心臓がバクバクと早くて、全身にジットリと汗をかいている。


なんだかすごく嫌な夢を見ていた気がするのに、それがなんだったのか思い出す事も出来なかった。


「千里、起きたの?」


一階からお母さんの声がする。


「うん」


あたしは返事をしてゆっくりとベッドから下りた。


昨日準備しておいた中学の制服が見える。


あぁ、今日は入学式だっけ。


そう考えながらも頭はぼんやりとしていて働かない。


まだ袖が通されていないピカピカの制服を着ると、少し生地が硬くて動きにくかった。


これから3年間着ることで、きっと肌に馴染むだろう。


あたしは鞄を持って一階へと向かった。


「あら、よく似合うわね」


「本当だな」


両親が笑顔で迎えてくれたので、あたしは照れくさくて頭をかいた。


「学校までは送ってあげるからね」


「自転車でいけるよ」


「ダメよ。昨日病院であまり無理しないようにって注意されたばかりでしょ」


お母さんの言葉にあたしはなにも言い返せなくなってしまった。
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